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仏陀の短い物語 その1 - パウロ・コエーリョのE-CARDSより

仏陀の短い物語 その1
2009/2/9
パウロ・コエーリョ

シッダールタ ーその名前は「目的を達成した人」という意味だー は紀元前560年頃、ネパールのカピラバスツ市の貴族の家庭に生まれた。

言い伝えによれば、シッダールタの父と愛を交わしていたとき、彼の母は夢を見た。:背中に蓮の花をつけた6頭のゾウが彼女の方にやってきた。次の瞬間、シッダールタが宿った。

妊娠中、シッダールタの母であるマヤ女王は、彼女が見たビジョンを解釈するために、王国に賢者たちを呼ぶことにし、彼らは、世界にもたらされようとしているこどもは偉大な王か偉大な僧になると、満場一致で断言した。

シッダールタの子ども時代と思春期は、私達のものと非常に似ていた。;彼の両親は、世界の悲劇について息子が知ることがないように、何としてでも守りたかった。それで、彼は、両親が住んでいる巨大な宮殿の壁の中に閉じこもって人生を送った、そこでは、全てが完璧で調和がとれている様に思えた。彼は結婚して息子を持ち、人生の楽しさと喜びだけを知っていた。

しかし、29歳になったある晩、彼は守衛のひとりに町に連れて行ってくれるよう頼んだ。王がお怒りになるかも知れないので守衛は拒否したが、シッダールタが非常に強くせがむので、結局のところは折れ、彼らは一緒に宮殿を出発した。

最初に彼らが見たのは、顔に寂しい表情を浮かべ、施し物を乞う老人だった。さらに進むと、癩病の患者に出会い、その直後には葬列が近くを通った。

「こんな事は始めて見た!」と彼は守衛に言い、守衛は「ええ、あれが老いで、あれが病、そして死です。」とでも言ったのかもしれない。宮殿に帰る途中で、髪は刈られ、黄色い法衣だけをまとった聖人に出会った。彼が言うには、「私の人生は苦悩であったので、全てをあきらめました。自分として転生し、老いと病気と死のすべてを再び苦しまなくても良いように。」

翌晩、シッダールタは妻とこどもが眠りにつくのを待った。静かに部屋に入り、どちらにもキスして、宮殿の外まで付き添ってくれるよう再び守衛に頼んだ。;そして、柄に宝石が施された自分の剣と人間の手で編む事が出来る最上の織物でできた自分の服を守衛に手渡し、自分の父に全て返してもらえるように頼んだ。:それからシッダールタは頭を剃り、身体を黄色いマントで覆い、世界の苦悩の答えの探求に出発した。

(つづく)

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