白い部屋

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マスターとの会話 ー旅 - パウロ・コエーリョのE-CARDSより

拙訳

マスターとの会話 ー旅
2008/3/27
パウロ・コエーリョ

最近、新しいアパートに引っ越したとき、Jとの会話の一連のメモを見つけた。Jは、世界中の口承の伝説と象徴的な言語の研究のための小さな友愛団体であるRAM教団に所属する。
これらのメモは、1982年2月から1990年の私たちのミーティングを含む。

私は最近、これらの文章を共有しても良いかと彼に尋ねた。;彼は同意し、いくつかの文章は「The Warrior of the Light Online(光の戦士オンライン)」の最初の二つの号で
すでに公表した。私は読みやすいように文章を対話形式に変え、言葉は正確にJ.が使ったものではない。けれども、内容は絶対的に私が聞いたことに誠実だ。

この文章は正確な年代順ではない。
私は、私がサンチアゴの巡礼をすることを彼が主張した1986年からの対話で始めることにした。

「あなたはサンチアゴへの巡礼が重要だと言いましたね。そのために、しばらくの間その人は何もかもを諦めなくてはなりません。つまり、家族、仕事、計画などです。私は、自分が戻って来た時に同じものをすべて見つけるかどうかわかりません。」

「実際に、あなたが見つけないことを願うよ。」

「今まで手に入れて来たすべてを失う危険を冒すべきでしょうか?」

「何を失うのか?人は、勝つか負けるかする魂しか持たないのだ。だから、人生を別にすれば人は何も持ってはいない。過去や未来の生活は問題ではない。この瞬間、あなたはこの人生を生きているのだから、無言の理解、喜び、熱意をもってそう生きるべきだ。失うべきでないのはあなたの熱意なのだ。」

「私は愛する妻を持ってます。」

「(笑って)それは最もありふれた言い訳で、すべての中で最も愚かしいものだ。人が夢に従うことを、愛は決して妨げない。本当にあなたを愛しているのなら、彼女はあなたにとっての最善を望むだろう。またいずれにしても、あなたは愛する女性を持ってはいない。その女性はあなたのものではないからだ。愛のエネルギーがあなたのもので、あなたはそれを彼女に向けたのだ。どこからでもあなたはそれを行うことができる。」

「もし巡礼のためのお金がなかったらどうなりますか?」

「旅は常にお金の問題ではなく、勇気の問題だ。あなたは人生の大部分をヒッピーのように世界中を回って過ごした。:そのときあなたはどんなお金を持っていたのか?何も持っていなかった。あなたはチケットを買う余裕はなかった。にも関わらず、私はそれがあなたの人生の最高の日々だったと思っている。ーろくに食べられず、駅で眠り、言葉のせいでコミュニケーションができない。ただ夜を過ごす寝どころをみつけるために他人に頼ることを余儀なくされる。

「旅は神聖だ。;時の黎明期からこれまで、人類は狩猟や放牧場、より穏やかな気候を探し求め旅してきた。自分の生まれた街を出ずに世界を理解できる人はほとんどいない。旅するとき(いわゆる観光旅行ではなく、旅の孤独な経験だ)、あなたの人生に4つの重要なことが起こる。:

a)違う場所にいるので、保護するバリアがもう存在しないことがそのひとつだ。最初はこれに不安を感じる可能性があるが、すぐそれに慣れ、自分の庭の壁の向こうにいかに多くの興味深いことがあるかを理解し始める。

b)孤独が大きく重苦しくなるので、故郷に戻った後には通常は言葉を交わさないようなウェイター、他の旅行者、ホテルのスタッフ、バスで隣りに座った乗客などに対して、よりオープンになる。

c) すべてにおいて他人を当てにし始める。:ホテルをみつけること、何か買うこと、次の列車に乗る方法を知ること。他人に頼っても何も悪いことはないと理解し始める。それどころか、それは祝福なのだ。

d) 知らない言葉を話し、価値が分からないお金を使い、初めての通りを彷徨う。その新しい挑戦の中では、古い自分が学んだすべてを持ってしても全く役に立たないということを知っている。はるかに興味深く、冒険的で、世界と新しい経験に対してオープンな何かが、無意識の深くに埋もれているということを発見し始める。

「旅することは、あなたがなろうとしている人物になるのをやめ、本当のあなたになる経験なのだ。」

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