問い
誰が あなたを 閉じ込めているの? 誰が あなたを 自由にしてくれるの?
オデュッセウスは もうずいぶんと長い間 帰郷したことに 気付かれていない 主人を心から慕う豚飼いも 幼き頃から彼を我が子のように大切にしてきた女中も オデュッセウスの帰郷に未だ気付いていない
オデュッセウスは もうずいぶんと長い間 帰郷したことに気付かれていない
私はずっと 眠っていた 朝のまだきにうまれ 指バラ色の曙の女神が 私の頬を照らすまで 私はずっと 眠っていた 主人のいないイタケの屋敷を 長きに渡って守る 心の重みから自由になるまで
あなたは 身動きもせずに あなたはずっと あなたはずっと 私の思いが溢れ出すのを あなたはずっと 待っていたというのに
どうしてもっと早く あなたを 手に入れて しまわなかったのだろう
思い出せない程 遥か昔から ずっとあなたは 私のものだったのに
心は あなたに ひかれ 迷えるこの体は 世俗にまみれ 行ったり来たりを繰り返しながら あなたに戻る以外の 道を 私は 知らない
原始の衝動に 私は 導かれる
ずっと前から 私のものだった 昔、 昔、 はるか昔 最初の光が 1点の放射をきらめかせ 私はそれを呼吸した そのときから それは私のものとなった
本当に わたしが 所有すべきもの それに辿り着く為の 道程の長さよ