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感情の自立 - パウロ・コエーリョのE-CARDSより

感情の自立
2016/6/8
パウロ・コエーリョ

「人生の最初と、そして年をとったときにもう一度、私達は他者の援助と愛情を必要とします。そのふたつの期間の合間は私達は強くて自分の世話ができるので、残念ながら、愛情と思いやりの価値に感謝しません。私達の人生が愛情を必要として始まって終わるのなら、強くて能力がある間に、他者に思いやりと愛を与えてはどうでしょうか?」

上述の言葉は、現ダライ・ラマのものだ。私達が感情的な自立を誇りにするということを見るのは本当に興味深い。
明らかに全くそうではないのだから。つまり、私達は一生他者を必要とするが、それを示すのは「恥」であるため、隠れて泣くのを好む。それで、誰かが私達に援助を求めるとき、その人は弱くて自分の感情をコントロール出来ないと考えられる。

「世界は強者のためにある」「適者だけが生き残る」という不文律がある。もしそうなら、人間は存在する事が無かっただろう。なぜなら、人間は長い期間保護される必要のある部類に入るからだ(専門家が言うには、私達は9歳の時にやっと自分で生き残る能力を持つ。キリンはたった6−8ヶ月で、ミツバチは5分以内にもう自立している)。

私達はこの世界にいて、私は私として他者に依存し続けていて、常に依存し続けるだろう。私は私の妻、友人、出版社に依存する。私は私の敵にすら依存し、その敵はいつも、私の剣の使い方の訓練を助けてくれる。

明らかに、この火が反対方向に吹く瞬間もあるが、私は常にこう自問する。「他の人はどこだろう?私は自分を他人から引き離しすぎたのか?健全な人達の様に、孤独と内省のときも必要だ。」

しかし、私はそれに夢中になることができない。

感情的な自立は、絶対にどこにも行き着かない。ー要塞を除いては。要塞の唯一かつ無意味な目的は人を感動させることだから。

感情の依存は、順番が来たら、私達が焚き付ける焚火のようなものだ。

最初の関係は困難だ。火が煙を出す事を避けられない様に。その煙で息が苦しくなり、涙がこぼれる。
しかし、一旦火がつけば、煙は消えて炎が私達の周りの全てを照らし出す。ぬくもり、穏やかさを広め、私達を燃やす火花を散らすが、それが関係性を面白くする。そうではないか?

私はこのコラムを、人間関係の重要性についてのノーベル平和賞受賞者の言葉の引用で始めた。最後に、医師で宣教師であり、1952年に同じノーベル賞を受賞したアルバート・シュバイツアー教授の言葉で締めくくる。

「私達は皆、中央アフリカで眠り病と言われる病気を知っています。私達が知るべき事は、魂を攻撃する似たような病気があるという事です。ーそしてそれは非常に危険です。なぜなら、それは気付かれずに私達を捕まえるからです。わずかな兆候である、同類に対する無関心と熱意の欠如を感知したら、注意して下さい!」

「この病気に対する唯一の予防は、私達が表面的に生きる時、魂は苦しみに苦しむのだということを理解することです。魂は美しく深遠なものを好むのです。」

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