白い部屋

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カモメとネズミ - パウロ・コエーリョのE-CARDSより

カモメとネズミ
2013/4/10
パウロ・コエーリョ

一羽のカモメが黒海の浜辺を飛んでいると、ネズミがいるのが見えた。カモメは空から急降下して、「君の翼はどこなの?」とそのげっ歯類に尋ねた。

彼らはお互い違う言語を話すので、ネズミはカモメの言ったことを理解しなかったが、目の前に立っている動物の体から、ふたつの大きくて奇妙なものが出ているのに気がついた。

「何かの病気にちがいない。」とネズミはつぶやいた。

カモメは、ネズミが翼をじっと見て、何かを静かに喋ったことに気付いた。「かわいそうに!彼は怪物に襲われ、耳が聞こえなくなり、翼を奪われたのだ。」

哀れみの気持ちでいっぱいになったカモメは、くちばしにネズミを入れ、空に飛ぶために連れ去った。少なくともこうすれば、昔を思い出すだろう。もっともっと高く飛びながら、カモメはそう思った。それから、ネズミを非常に注意深く地上に下ろした。

数ヶ月間、ネズミはとても不幸せな生き物だった。空に高く舞い上がり、広く美しい世界を見たからだ。

しかし、時間が経つと、ネズミは結局ネズミであることに再び慣れていき、その人生で起きた奇跡はただの夢だったと思うようになった。

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