白い部屋

あなたと宇宙を泳ぐ

友情の火 - パウロ・コエーリョのE-CARDSより

拙訳

 

友情の火
2015/11/16
パウロ・コエーリョ

出版業者、編集者と一緒にモスクワのホテルに到着すると、若い女性が私を外で待っている。彼女はやって来て私の手を握りしめる。
「私はあなたに話す必要があるのです。そうするためだけにエカテリンベルグからはるばる来ました。」

私は疲れを覚えた。直行便が無いので、普段よりも早く起きてパリの飛行機を変更しなければならない。旅の途中で眠ろうとしたがなんとかしてまどろむたびに、同じ不快な夢の繰り返しに陥る。
さよならを言うために私は手を差し出し、彼女の手がとても冷たいことに気付く。
「なぜ屋内で私を待っていなかったのですか?」
「先日あなたのブログを読んで、あなたが私に直接語りかけていると気付いたのです。」

彼女は記事がのった1枚の紙きれを取り出す。誰が話したのか思い出せないけれど、私はその物語を記憶している。
アリという男がお金を必要としていて、助けてくれるよう彼の店長に頼む。店長は彼に課題を設定する。:
もし山の頂上で一晩中過ごす事が出来たら、彼は大きな報酬を受け取るだろう。;
もし失敗すれば、彼は無料で働かなければならないだろう。物語は続く。:

店を出たとき氷のような風が吹いていることにアリは気がついた。彼は怖れをなし、賭けを受けるのは無謀と思うかどうかを、親友のアイディに尋ねることにした。
しばらく問題を検討してから、アイディは答えた。:
「心配しないで下さい。私が手伝います。明日の夜、山の頂上に座っている時まっすぐ前を見て下さい。」
「私は向かいの山の頂上にいます。そこで私はあなたのために一晩中火を燃やし続けます。」

「火を見て、私たちの友情のことを考えて下さい。;
そうすればあなたは温かい状態でいられるでしょう。」
「あなたはそれを夜通しやり、後で私はあなたに何かお返しを求めます。」

アリは賭けに勝利しお金を手に入れた。そして友人の家に行った。
「あなたは私に、お返しとして何らかの支払いを望んでいるといいいましたよね。」

アイディは言った。「ええ、でもそれはお金ではありません。いつか私の人生に冷たい風が吹くときは、私のために友情の火を灯すと約束して下さい。」

私の著書「アリフ」からの抜粋

 

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