白い部屋

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電通ギャラリーでの出会い -パウロ・コエーリョのE-CARDSより

電通ギャラリーでの出会い
2008/8/7
パウロ・コエーリョ

私が宿泊している東京のホテルに、3人の非常に身なりの良い紳士がやって来た。

「昨日、あなたは電通ギャラリーで会合を開きましたね。」
とひとりが言った。
「私が偶然入ると、あなたはちょうど偶然の出会いなどないと言っていました。おそらく私たちは自己紹介をすべきでしょう。」

彼らがどうやって私が宿泊しているホテルを見つけたのか、私は尋ねなかった。私は何も質問しなかった。;人がそのような困難を乗り越えることが出来るのなら、彼らはあらゆる敬意に値する。3人の男のうちのひとりが日本語で書かれた数冊の本を私に手渡した。私の通訳は興奮した。つまり、この男はカズヒト・アイダで、私が聞いたことのない有名な日本の詩人の息子だったのだ。

そして、その出会いの正確で神秘的なシンクロニシティーのおかげで、私はあいだみつを(1924年〜1998年)の膨大な作品の一部を発見し、読むことができ、ここでこのコラムの読者と共有できる。彼は書道家で詩人。その作品は私たちに純真さの重要性を思い出させる。

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人生を激しく生きてきたから
乾燥した草は通り過ぎる人の注意を惹く
花はただ咲き、
出来る限り最善を尽くす
谷の白いユリ
誰にも見られず
誰にも説明しない;
美しさのためだけに生きている
だが人は、「だけ」では生きられない

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トマトがメロンになりたかったら
彼らはお笑いぐさになるだろう
私は驚いた
とてもたくさんの人が忙しいということに
自分でないなにかになろうとして;
どうしてお笑いぐさになんかなりたいんだろう?

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強いフリをする必要はない
すべてがうまく行っているといつも証明する必要はない
他の人が考えることを気にかけてはいけない
必要な時は泣きなさい
涙が涸れるまで泣くのは良いことです
(その後でしか、あなたが再び微笑むことはないのだから)

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私は時々、テレビでトンネルと橋の開通式を見る。
通常起きるのはこうだ。:たくさんの有名人と地方の政治家が並び、真ん中にホストの大臣か知事がいる。その後、リボンがカットされ、作業監督が事務所に戻った時、彼らはたくさんのお礼と賞賛の手紙を受け取る。

汗と仕事を捧げた人達、つるはしと鋤を持ち、夏は働いて疲れ果て、仕事を仕上げるために厳しい冬に耐えざる得なかった人達は、見られることがない。;
その中の最高の部分は、決して顔にまったく汗をかくことがない人のもののように見える。

私は常に、見られない顔を見ることが出来るようになりたい。
名声も栄誉も求めず、人生によって運命づけられた役割を黙って演じる人々のことだ。

私はそれができるようになりたい。存在する最も重要なものは顔を出すことのない、私たちを構築するものたちだから。

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