神聖なメロディー - パウロ・コエーリョのE-CARDSより
拙訳
神聖なメロディー
2017/2/27
パウロ・コエーリョ
ザキは、シャ(訳注:英文ではXa。読み方は不明。)が友人たちに地上で最も美しい音は何かを尋ねているのを耳にする。
「フルートの音色だ。」とひとりが言った。
「鳥のさえずりだ。」ともうひとりが言った。
「女性の声だ。」と3人目が言った。
彼らは結論が出せずに、夜遅くまで議論を続けた。
数日後、ザキはシャと彼の友人を夕食に招待した。隣りの部屋で世界最高のオーケストラが美しい音楽を演奏していたが、テーブルには食べ物がなかった。真夜中頃になり、客人達は皆お腹がすいていた。ザキはやっと、この上なく結構なごちそうを食卓に並べた。
「長い間食べずにいた後では、皿の上でカトラリーがカチャカチャ鳴る音は神聖な音ではないでしょうか?」とシャは言った。
「私はただ、地上で最も美しい音は何かというあなた方の疑問に答えているのです。」とザキは言った。
「愛する女性の声や鳥のさえずり、皿の鳴る音、私たちを愛する誰かがベッドの隣りに寝ている時の息使い、どれでもそれになり得ますが、それは常に、私たちの心が正確にその瞬間に聴く必要がある音でしょう。」