白い部屋

あなたと宇宙を泳ぐ

あらゆるものの中の全体 - パウロ・コエーリョのE-CARDSより

拙訳

あらゆるものの中の全体
2016/6/1
パウロ・コエーリョ

ケツが12歳になった時、マスターの元に送られた。24歳まで彼はその人の元で学んだ。訓練を終えると、彼は誇りに満ちて帰宅した。
父は彼に尋ねた。:
「見えないものをどうしたら知ることができるだろうか?あらゆる所に全能の神がいることを、我々はどうやって知ることができるのだろうか?」
若者は聖典を暗唱し始めたが、父は彼を遮った。:
「それは複雑過ぎる。神の存在を学ぶもっと簡単な方法はないのかね?」
「お父さん、私が知っているのはそのことについてではありません。今、私は学んだ者であり、聖なる知恵の神秘を説明するためにこの知識を必要としているのです。」
「息子を修道院に送って、時間と金の無駄だった。」と父は不満を言った。
そしてケツの手を引き、キッチンへ連れて行った。そこで彼はボウルを水で満たし、少量の塩を入れた。それから彼らは街に散歩に出た。
彼らが帰宅したとき、父はケツに言った。:
「私がボウルに入れた塩を持って来ておくれ。」
ケツは塩を探したが、それはすでに水に溶けていたので見つからなかった。
「それで、もう塩は見えないかい?」と父は問いかけた。
「塩は見えません。」
「それなら、ボウルの表面の水を少し味わってみなさい。どんな味がするかい?」
「塩辛いです。」
「真ん中辺りの水を少し試してみなさい:どんな味がする?」
「表面と同じくらい塩辛いです。」
「ではボウルの底の水を味わってみて、どんな味がするか教えてくれ。」
ケツはそれを試し、それは前に感じたのと同じ味だった。
「お前は何年も学んできて、見えない神がどのようにすべての部分に存在するかを簡単に説明出来ない。」と父は言った。「ボウルの水を使って、神を『塩』と呼び、私はそれをどんな農民にも理解させることが出来た。親愛なる息子よ、我々を人間から遠ざけるような知恵はどうか忘れて、私たちをより身近に引き付ける直感を、もう一度探して下さい。」

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