白い部屋

あなたと宇宙を泳ぐ

明日… - パウロ・コエーリョのE-CARDSより

拙訳

明日…
2014/12/31
パウロ・コエーリョ

過去に戻ることは誰にも出来ないが、先に行くことは誰にでもできる。

そして明日、太陽が昇ったとき、あなたが自分に言わなければならないのはこれだけだ。:
この1年を、人生で最初の1年だと考えよう。

驚きと驚嘆を持って私は自分の家族を眺める。彼らが私のそばにいて、たくさん話題に上がるが少ししか理解されていない愛と呼ばれるものを静かに共有しているのを発見して嬉しく思う。

お金を要求する物乞いのそばを私は通り過ぎるだろう。
私は彼にそれをあげるかもしれないし、(私のように)彼がそのお金を酒を飲むのに使うだけだろうと考えながら通り過ぎるかもしれない。
彼が私を侮辱するのが聞こえ、それが単に彼のコミュニケーションの手段だと私は知っているのだ。

橋を破壊しようとする誰かのそばを私は通り過ぎるだろう。
私は彼を止めようとするかもしれないし、彼には天国で待ってくれている人がいないためにそうしているのだと気付くのかもしれない。これが自分の孤独を紛らわせようとする彼の唯一の手段なのだ。

私は、あらゆる物と人をまるで初めて見るように見るだろう。とりわけ、それを取り巻く魔法を完全に忘れて、私が慣れてきた小さなことを。例えば砂漠の砂は、私には理解出来ないエネルギーによって移動する。私は風を見ることが出来ないゆえに。

いつも持ち歩いているノートブックに忘れられないことを書き留める代わりに、私は詩を書くだろう。これまで一度も書いたことがなくても、二度と書かないとしても。私は自分の感情を言葉にする勇気を一度持ったことがあると、私は少なくとも知るだろう。

良く知る小さな村に着いたとき、私は違う道筋でそこに入るだろう。私は微笑み、村人はこう言い合うだろう。:「彼は気がふれているに違いない。戦争と破壊で不毛の土地になってしまったのに。」

それでも私は微笑み続ける。彼らが私を狂人と思っていると知るのは嬉しいからだ。私の微笑みは私なりの次のような表現だ。:「私の肉体は壊せても、魂は壊せない。」

今夜旅立つ前に、これまで整理する忍耐のなかった山積みのものを分類する時間を取ろう。そこに私の歴史が少し見つかるだろう。
全部の手紙、ノート、切り抜きや領収書はそれ自身の生命を獲得し、私に語りかけるおかしな物語を持っている。ー過去や未来について。世界中のあらゆるもの、旅したすべての道、私の人生の入り口と出口のすべてについて。

よく着る服を着て、それがどんな風に作られたのかに初めて気付くだろう。綿を織った手や繊維の植物が産まれた川を想像しするだろう。今は目に見えないものすべてが、私のシャツの歴史の一部だと私は理解するだろう。

そして、履き古し、私の足の一部になったサンダルのような慣れ親しんだ物でも発見の神秘をまとうだろう。
未来に向かって歩んでいるゆえに、以前躓いたときにサンダルについたかすり傷に私は助けられるだろう。

私の手が触れ、私の目が見、私の口が味わったものすべてが異なっていながらも同じものでありますように。そうして、それらのすべてが生物であることをやめ、代わりにそれらがこれほどの長く私と共にあった理由を説明するだろう。;日常によって平坦になった感情に再び出会う奇跡を、それらは明かしてくれるだろう。

「THE MANUSCRIPT FOUND IN ACCRA(アクラで見つかった写本)」より

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