白い部屋

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忠誠心 - パウロ・コエーリョのE-CARDSより

拙訳

忠誠心
2018/2/19
パウロ・コエーリョ


忠誠心は、絶妙な磁器の花瓶を売る店、即ち愛が鍵となる店と比べることができる。
それぞれの花瓶は異なっているから美しい。それぞれの人のように。雨の一粒一粒のように。山の中に眠るそれぞれの岩のように。

古くなったため、あるいはいくつかの予想外の不具合のため、時に棚が崩れ倒れる。そして、店主は独り言を言う。:
「私はこの収集に自分の時間と愛を投資したが、花瓶は私を裏切って壊れてしまった。」
その人は店を売って去る。彼は孤独で愛想を尽かした人間になり、もう誰も信用しないと思っている。

花瓶が壊れることがあるのは本当だ。つまり、忠誠心の約束が破られたのだ。その場合、かけらを掃いて捨てるのがベストだ。なぜなら、壊れた物は二度と元には戻らないからだ。
だが、棚が崩れ落ちる理由は、時に単なる人間の意図を越える。:地震かも知れないし、敵の侵入かもしれないし、自分がどこに向かっているのかを見ないで店に入る誰かの不手際かも知れない。

男と女は、その災いに対してお互いを責める。彼らはこう言う。:「誰かが起きることを予測しておくべきだった。」または「私が担当していたなら、この問題は避けられただろう。」
何事も真実からかけ離れていることはない。私たちは皆、時間の砂の囚人で、それに支配力を持たないのだ。

時間は過ぎ、落ちた棚は直される。

世界に自分の場所を得るために戦っている他の花瓶がそこに置かれる。続くものなど何もないと理解している新しい店主は、微笑んで独り言を言う。「悲劇が私に機会を開いてくれた。私はそれを最大に活かそう。これまで存在すら知らなかった芸術作品を発見しよう。」

「THE MANUSCRIPT FOUND IN ACCRA(アクラで見つかった写本)」より

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