白い部屋

あなたと宇宙を泳ぐ

1分間の読み物:涙は書かれる必要のある言葉だ - パウロ・コエーリョのE-CARDSより

拙訳

 

1分間の読み物:涙は書かれる必要のある言葉だ
2011/8/2
パウロ・コエーリョ

 

(2006年、私はチュニジアチュニスで会議を主催している。)

会話が続き、時間は早く過ぎ、私は事をまとめる必要がある。最後の質問のため、そこにいる600人の中からランダムに、私は口ひげをもじゃもじゃに生やした中年の男性を選んだ。
「私は質問をしたくありません。」彼は言った。「私はただ、ある名前を言いたいのです。」
彼が発した名前は、ここから数千キロの距離にあるバルバザン・デバの人里離れた礼拝堂だ。この巡礼に出る前のある日、私は聖母マリアの守護を祈るため同じ場所を訪れた。奇跡への感謝の気持ちから、私はそこに銘板を置いたのだった。

私はどう返事して良いのかわからなかった。
次の文章は、私と一緒にステージにいた人によって書かれたものだ。

**********

部屋の中で、宇宙が突然動きを止めました。とてもたくさんのことが起こりました。:匿名の読者がその遠い礼拝堂の名前を発したとき、私はあなたの涙を見、あなたの愛する奥さんの涙を見ました。

あなたは、もはや話すことができませんでした。笑顔は真顔になりました。まるで招かれていないのにそこに現れたことを謝罪したいかのように、まつげの上で震える恥じらいの涙であなたの目はいっぱいになりました。

なぜだかわかりませんが、私ですら喉にかたまりを感じました。聴衆の中に私の妻と娘を探しました。未知の何かに瀕しているのを感じるとき、私はいつも彼女たちの方を見るのです。
彼女たちはそこにいました。他の皆と同様に静かに座っていましたが、目はあなたに注がれていました。まるで視線で人を支援できるかのように、彼女たちの視線であなたを支援しようとして。

それから私はクリスチーナに助けを求めました。何が起こっているのか、果てしなく思える沈黙をどうやって終わらせるか知ろうとして。
そして、彼女も静かに泣いているのを見ました。まるでふたりとも同じ交響曲の音符のように。遠く離れて座っていたとしても、ふたりの涙は触れているかのように。

長い数秒間、何も存在しませんでした。部屋もなく、聴衆もなく、何もなかった。あなたと奥さんは、私たちが着いて行けない場所に出て行ってしまっていました。;残っていたのは、沈黙と感情で表現された生きる喜びだけ。

言葉は書き留められた涙です。涙は流される必要がある言葉です。それらがなくては喜びはその輝きをすべて失い、悲しみには終わりがありません。
あなたと、あなたの涙に感謝します。

**********


最初に質問した若い女性は、兆候について尋ねた。
何が自分をここに連れて来たのかわからないとしても、正しい時間、正しい場所にいるということを確認できる兆候について。
私は彼女に言っておくべきだった。

 

「アリフ」 からの抜粋

 

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