白い部屋

あなたと宇宙を泳ぐ

ブエノス・アイレスのバーにて - パウロ・コエーリョのE-CARDSより

拙訳

 

ブエノス・アイレスのバーにて
2008/3/11
パウロ・コエーリョ


私はブエノスアイレスでコーヒーを飲みながら、ベネズエラ人作家のダルシー・ロハスと一緒にいる。;私たちは平和のアイディアと、それがどうやって人間の心から取り除かれたのかについて話し合っている。ダルシーはそのとき、次の物語を私に話した。

王が、平和のアイディアを最も良く表現できるアーティストに偉大な賞を提供した。たくさんの画家が宮殿に作品を送った。夕闇の木々、穏やかな川、砂上で遊ぶこどもたち、空に浮かぶ虹、薔薇の花びらの上の露などを描いたものだった。

王は送られて来た全部を審査し、たった2つだけを選んだ。

最初の絵は静かな湖が描かれていて、それを取り囲む堂々とした山々とその上の青空を完璧に映し出していた。空には小さな白い雲が点々とし、間近に見ると湖の左手の隅に、開いた窓がひとつと煙が立ち上る煙突のある小さな家が建っている。ー質素だがおいしい食事が準備されているという象徴だ。

第2の絵も山の絵だが、それらは鋭く険しい峰があり厳しくて石だらけだ。山の上の空は容赦なく暗く、そして重たい雲から稲妻、ヒョウ、猛烈な雨が降っていた。

その絵は他の提出物との調和を完全に欠いていた。しかしながら、よく見るとそれらの荒れ果てた岩の1つの割れ目に鳥の巣があるのがわかった。嵐の猛烈な轟音のまっただ中で、ツバメは静かにその巣の上に座っている。

彼が廷臣を一同に集めた時、平和のアイディアが最も良く表現された絵として2番目の絵を選んだ。彼は説明した。:

「平和は騒音、問題、厳しい仕事から解放された場所で見つけるものでない。;

平和とは、最も不利な状況にある時さえも、心の中の平穏を保つことを可能にするものだ。これこそがその真実かつ唯一の意味だ。


原文:http://paulocoelhoblog.com/2008/03/11/in-a-bar-in-buenos-aires/