ガーディアン・インタビュー - パウロ・コエーリョのE-CARDSより
拙訳
ガーディアン・インタビュー
２００９／３／２３
パウロ・コエーリョ
ー「勝者はひとり立つ」（"The Winner Stands Alone"）はあなたの１２冊目の小説です。あなたはそれを「私たちが、今どこにいるのかのありのままの肖像」と言います。どういった意味ですか？
私はその本を昨年の２月に書きました。この（経済）崩壊の前です。私たちは現実との接点、人生の簡素さを失いました。この本は、私たちがいかに人生を複雑にしているか、また私たちの夢がどのように操作されているのかということについてです。
ーあなたの最も成功した本「アルケミスト」は３０００万部売れました。
もっとです。私が思うに３５００万部でしょうか。私の本を全部合わせると１億５０００万部売れました。海賊版を入れたらさらに２０％加わります。
ー４週間で書いたというのは本当ですか？
２週間です。はい。本はすでに私の魂に書かれていたのです。
ー最初にそれが発表されたとき、それは出版社に却下されました。そのとき何が起こったのですか？
出版社に却下されたのではありません。それは出版され、売れなかったのです。それで出版社が言いました。「この本は決して売れないだろう。」 ーそれは却下されるよりもっと悪いことです。
そのときは一応、「新しい出版社を探そう」と思います。そんなふうに他の出版社に行くと、「わかった。出版され、誰もそれに興味を示さなかったのですね。」と言われます。
けれども、私はそれが偉大な本だと強く確信していたので、他の機会を探し始めたのです。
今では、「アルケミスト」は存命中の作家による最も翻訳された本です。
ーあなたは本当に天使を信じているのですか？
はい。
ーそれを見たことは？
いいえ。私は天使を見たことはありません。しかし、私がそれを見たかどうかは関係ありません。私は周りにいる彼らの存在を感じます。翼や何かを持った古典的な天使ではありませんが、守護されていると知っています。これは秘儀的なことと何も関係がありません。それは人生に対する態度なのです。していることに熱中するとき、あなたはこの前向きなエネルギーを感じます。とても簡単です。天使から悪魔、経済学者、政治家まですべてが可能です。
ーあなたの本が人生を変えたと言う人がいます。一方で、あなたの作品についてかなり高踏的な人もいます。なぜそれほど分かれるのでしょう？
これまでに考えたことがありませんでした。本を書くとき、私は自分のために本を書きます。そして、反応は読者次第です。皆がそれを好きかそうでないかは私に関係ないことです。
ー批評で傷つきますか？
いいえ。作家は街灯柱で批評家は犬です。犬についてどう思うか、街灯柱に聞いてみて下さい。犬は街灯柱を傷つけますか？
あなたの本をどう言いますか？それらは自助ですか？
いいえ。私は自助作家ではありません。私は自己問題作家です。人々が私の本を読んだとき、私はいくつかのことを誘発します。私は自分の作品を正当化出来ません。私は仕事をします。それを分類し、判断するのは彼らです。
ーあなたを教祖として見る人たちもいます。それを受け入れますか？
いいえ。もちろん。
ーそれは建前ですか？
いいえ。それは全く事実ではありません。
ーあなたは政治的な作家ですか？
何か言おうと言いまいと、誰もが政治的な人物です。政治的な態度は、あなたが議会に行くかどうかではなく、周辺環境と共に生活にどう取り組むかです。私は読者に、少なくともあなたは孤独ではないという感覚を与えています。ですが「人生の意味とは何か？」という質問に答えるよりも、私は自分の人生にいくつかの意味を与えようとしています。
ーあなたが１７歳のとき、両親はあなたを精神病院に収容しました。
はい。３回程。私は刑務所にも３回入りました。しかし、自分を犠牲者として見たことはありません。これは私の旅の一部なのです。私の両親は、私が彼らの夢を追うことを望んでいました。私自身の夢ではなく。そしてそれを私が受け入れなかったという単純な事実によって、私は犯罪者にものけ者にもなりません。私は考えました。「いつかこのことを書こう」。そしてその通りにしました。私は「ベロニカは死ぬことにした」を書き、その本はこういうことです。つまり、あなたの違いを受け入れてください。それがあなたが違いを作る方法です。
ーそれらの経験でとても怒り、とても政治的になる人もいます。
刑務所の経験は私を怒らせはしませんでした。それは私を怖がらせました。しかしもっと悪いことは ーあなたが怒っているとき、あなたは反応する。；あなたが怖れているとき、あなたは反応しない。あなたただ受け入れます。私がこの怖れを乗り越えるのに多くの年月を要しました。しかし、愛を含めて時間がすべてを癒してくれます。
