白い部屋

あなたと宇宙を泳ぐ

私の島を探して - パウロ・コエーリョのE-CARDSより

拙訳

私の島を探して
2012/5/16
パウロ・コエーリョ

「ザーヒル」で主人公は次のように言っている。
「書くことは海で迷子になることだ。それは、あなた自身の語られていない物語を発見し、他の人たちと分かち合おうとすることだ。会ったことがない人々にそれを見せると、あなたは自分の魂に何があるかがわかる。」
本の中の作家は、霊的なことに関して名高く全てを持っていると信じている。彼は自分にとって最も貴重なものを失う。それは愛だ。
夢に描く人が誰もいなかったとしたら男に何が起きていたのだろうか?それを私はいつも知りたいと思っていた。今、自分自身のためにその質問に答えている。

「本は自分でそれ自身を書く。作家はただのタイピストだ。」
私が作家の伝記をよく読んでいたころ、彼らがこう言うと私はいつも思った。彼らはただ自分たちの仕事をもっと面白く見せようとしているだけだろうと。
私は今、これが絶対的な真実だと知っている。なぜ潮流が、到着したかった島ではなくその特別な島に彼らを連れて行ったのかは誰も知らない。
それから強迫的な書き直しと編集が始まる。もう1回たりとも同じ言葉を読み返すのに耐えられなくなったとき、私はそれを出版社に送り、そこで再編集され、出版される。

そして、いつも私の驚きの種になる発見は、他の人々もまさしくその島を探していたこと、そして彼らが私の本の中でそれを見つけること。
読んだ人が別の人にそれを言い、神秘的な連鎖が成長し、作家が孤独な活動だと考えていたことが橋となり、ボートとなり、魂が旅して伝達することを可能にする手段となる。

それ以来、わたしはもう嵐の中で遭難した男ではない。
私は読者を通して自分自身をみつける。他の人もそれを理解するとわかったき、私は自分が何を書いたのか理解する。だが、決してその前にではない。(その先でおこることだが)稀に私はその人々に会えて、それで私は自分の魂が孤独ではないと理解する。

かつて、あるインタビュアーがポール・マッカートニーに尋ねるのを聞いた。:
ビートルズのメッセージを1文でまとめることができますか?」
私自身が同じ質問を聞き飽きていたため、私はマッカートニーが皮肉な返事をするだろうと思い込んでいた。
人間の複雑さを考えれば結局、作品全体を数語でまとめることなどどうしてできるというのか?

だが、ポールは言った。「はい、できます」。
彼は続けた。
「愛だけが必要だ」。「もっと言って欲しいでしょうか?」

いいえ、とそのインタビュアーは言った。ポールはもう何も言わなかった。それ以上言うべきことはなかったのだ。「ザーヒル」は同じやりかたでまとめることができるだろう。

 

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