なんでも台無しにした老人 - パウロ・コエーリョのE-CARDSより

拙訳

なんでも台無しにした老人
２００７／９／１８
パウロ・コエーリョ

G.I.グルジエフは２０世紀で最も興味をかき立てる人物のひとりだった。オカルト界では馴染みの名前だが、人間心理学の研究家としての彼の仕事はまだ良く知られていない。

次の出来事は、彼がパリで暮らしていた時、彼が人間開発のための有名な研究所を建てたばかりのときに起きた。

教室はいつも満員だったが、学生の間にとても気難しい年寄りがいて、彼は研究所の教えをしょっちゅう批判していた。
彼は、グルジエフはペテン師で、彼の手法は科学的根拠が全くなく、彼の「魔術師」としての評判は現実とは関係ない、と言った。他の学生たちはこの年取った男の存在に悩まされていた。だが、グルジエフは気にしていないようだった。

ある日、老人はグループを去った。これから教室はより静かで生産的になると考え、皆は安心した。驚いたことに、グルジエフは男の家に行き、彼に研究所に戻るよう依頼した。

老人は最初は断ったが、クラスに出席することで給料を得られるという条件で承諾した。

話はすぐに広まった。学生たちはうんざりし、なぜ先生が何も学んでいない人に報酬を与えなくてはなくてはならないのか知りたがった。

「実際に、私は教え続けるために彼に支払いをしています。」返答が来た。

「何ですって？」学生が言った。「彼がやること全ては、あなたが私たちに教えていることに完全に反しているではないですか。」

「確かに。」グルジエフは言った。「彼が周りにいなければ、あなたは怒り、不寛容、短気と思いやりの欠如が本当に意味するところを理解するのが難しいとわかるでしょう。しかし、生きた例としてのこの老人がいれば、そのような感情がどうやってコミュニティーを地獄に変えうるのか示し、あなたは素早く学ぶでしょう。あなたは調和のとれた生き方を学ぶために私に支払います。そして、この教訓を反対にだけあなたに教えるのを手助けしてもらうために、私はこの男を雇ったのです。」

原文：http://paulocoelhoblog.com/2007/09/18/the-old-man-who-spoiled-everything/