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クリスマスの物語:聖母の曲芸師 - パウロ・コエーリョのE-CARDSより

拙訳

 

クリスマスの物語:聖母の曲芸師
2007/12/22
パウロ・コエーリョ

中世の伝説では、私たちが今日オーストリアとして知っている国で、家族 ー男性、女性、こどもー が、詩を朗読したり、古代の吟遊詩人のバラードを歌ったり、ジャグリングをしたりして、クリスマスパーティーで人々を楽しませていました。もちろん、プレゼントを買うために残すいくらのお金も決してありません。ですが男はいつも息子に言いました。:

「世界中にとてもたくさんのこどもたちがいるのに、なぜサンタクロースの袋が決して空にならないか知ってるかい?なぜなら、それはたくさんのおもちゃでいっぱいだが、ときどき私たちが『見えない贈り物』と呼ぶもっと大切なものが配られる事があるからなんだよ。」
壊れた家で、キリスト教の聖なる夜に、彼は調和と平和をもたらそうと努めました。愛が欠けたところで、彼は子どもの心に信頼の種を預金します。
未来が真っ黒で不確かに思える場所で、彼は希望を持っていました。
「私たちの場合は、父なるクリスマスが訪れた翌日、まだ生きて仕事をしていて、それが人々を幸せにさせる。そのことを決して忘れてはダメだよ。」

時間がたち、少年は成長し、そしてある日、家族は建てられたばかりの印象的なメルク修道院の前を通りかかりました。

「お父さん、何年も前に私にしてくれたサンタクロースと目に見えない贈り物のお話を覚えていますか?私はその贈り物のひとつを一度受け取ったと思います。:聖職者になるという使命です。今、私がずっと夢見ていたことへ最初の一歩を踏み出しても構いませんか?」

彼らは仲間の息子を本当に必要としていましたが、家族は少年の望みを理解して尊重しました。彼らは修道院の扉をノックして、愛のある、気前のよい歓迎を受けました。そして修道士たちは若いブルクハードを新入りとして受け入れました。

クリスマスイブがきました。そしてちょうどその日に、メルクに特別な奇跡が起こりました。:聖母マリアが腕に赤ん坊のイエス様を抱えて、修道院を訪問する為に地球に降りていらっしゃる事に決めたのです。

聖母マリアが聖母とその息子の像に敬意を払おうとする前で、聖職者は全員列に並んでそれぞれが誇らしげに立ちました。彼らのうちの一人は場所を飾る美しい絵を展示し、ほかのひとりは3分の1が全ての聖人の名前の列挙とはいえ、書いて挿絵をいれるのに100年もかかった聖書の複写を見せました。

列の一番最後で、若いバックハードは心配そうに順番を待ちました。彼の両親は素朴な人たちで、彼らが彼に教えたすべては、空中にボールを投げあげいくらかのジャグリングをすることだけだったのです。

彼の順番が来たとき、他の聖職者たちは払われた全ての敬意を終わりにしたかったのです。元曲芸師は追加する重要なものをなにも持っておらず、修道院のイメージを傷つけさえするかもしれなかったからです。

それにも関わらず、彼のこころの奥で、彼は彼自身のなにかをイエスと聖母に捧げる大きな必要性も感じていました。修道僧たちのとがめるような視線の前でとても恥ずかしく感じながら、彼はポケットからいくつかのオレンジを取り出し、空中に投げ上げ、手の中に受け始めました。
彼と家族が地方のすべての縁日を旅したとき、彼がやっていたのと同じように空中に美しい円を描きながら。

その瞬間、聖母マリアの膝の上に寝ていた赤ん坊のイエス様が喜んで手を叩き始めました。そして、笑っている赤ん坊をひとときの間抱かせるために、聖母は若いバックハードに彼女の腕を差し出したのでした。

パウロ・コエーリョ著「クリスマスの物語」より(ポルトガル語、英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語)

本文:http://paulocoelhoblog.com/2007/12/22/christmas-tale-our-ladys-juggler/