白い部屋

あなたと宇宙を泳ぐ

20年後:正直になろう -パウロ・コエーリョのE-CARDSより

拙訳

20年後:正直になろう
2006/5/23
パウロ・コエーリョ

ブルガリアの首都ソフィアで特別な5日間を過ごした後、私は初めてブルガリアの航空会社の飛行機に乗った。サンチアゴへの巡礼道を旅してから20年が経過した。それにちなみ私は計画の(ほとんど)ない旅をしていて、その飛行機が、次の目的地まで私を運んでくれる予定だ。

離陸前と離陸中はコンピューターの電源を入れるのが禁じられているので、私は航空会社の雑誌を見る。あらゆる他の航空会社の雑誌と同じように、国の素晴らしさを述べるのだろうが、それには私はあまり関心がない。なぜなら、私の訪問は素晴らしいものだったので、その場所がどれほど素晴らしいかを他の人に再び言ってもらう必要がないからだ。
何年も前、極めて厳しい共産党政権の間には誰も国に訪れることができなかった。ブラジルの作家がブルガリアの存在自体を問う本を書いた。その作家は、ブルガリアに行ったことのある人をこれまでに知らないと主張した。だからおそらく、ブルガリアが現実に存在しないと私たちを信じさせる大きな陰謀だったのだろう。もちろんその本はとてもいかがわしくブルガリアの批評家もいない。だがそれで、集合的な想像は時に操作され得るという事がわかる。

航空雑誌を読みながらその作家のことを考えていると、普通にホテルやレストラン、搭乗手続きのアドバイスが載ったページの間に、突然、魅力的で意外なものを見つける。:

A)ソフィアの中心を歩くということは、歩道に止められた車、あなたの耳にホーンを鳴らす人々、路上で自由に迷っている犬、歩行者への注意書きもなく現れる穴に対面しなければならないという意味です。

B)もしバスに乗るのなら、ドアが小さいことを覚えておいて下さい。そのため、乗車時にケガをする可能性が大いにあります。運転手の膝に1レフ硬貨(現地通貨)を放り投げ、どこで降りたいのかを叫び、バスが常にバス停を尊重するわけではないということに注意して下さい。それで気分を損ねてはいけません。

C)もし車を運転するなら、次の全ての項目を考慮して下さい。:運転免許証、パスポート、ステンレススチール製の神経、一瞬たりとも瞬きしない目、ヒエログラフィーのような信号機(ブルガリアはキリルアルファベットを使用)、気が狂った運転手。

D)信号で止まったとき、フロントガラスを掃除しようとするこどもの集団に囲まれる覚悟をして下さい。:断固として受け入れてはいけません!

E) 交通警官は「並外れて買収されやすく」、あなたに警戒しています。聖者のように振る舞ってください。「現金で罰金」(単なる賄賂です)を払いたいのでなければイライラしてはいけません。

F)ブルガリアは高い犯罪率を持ちますが、リラックスして下さい!
ニューヨーク、ロンドン、パリなど他の大都市と同じくらい、安全か安全でないかのどちらかです。

G)夜間の照明はひどいです。

H)店の主人は絶対におつりを持っていません。ホテルに低額の紙幣を頼んで下さい。そうでなければ、おつりを手に入れるために販売員がお隣か最寄りの銀行に行くのを20分間待つというリスクを負うことになります。

I) バスに戻るとしましょう:何台かのバスはドアのところにひどい機械があり、そこから券を引き抜くやり方を早く発見しなくてはなりません。公共交通機関は世界中どこでも有料だということを覚えていて下さい。
もちろん、旅の間に乗務員が乗客に乗車券を求める可能性は大いにあります。しかし、ほとんどは乗車券を持っていないため言い争いになり、彼らは罰金を払うことになります。
あなたはすでに乗車券を買っていてこれらの問題を全て解決しているので、怖れることなくそれらの言い争いを観察することができます。

正直になろう。世界中のほとんどの大都市が、それらの問題のほとんどで苦しんでいる(例えば、チケットの状況はアムステルダムで私も経験したことがある)。だが、航空会社がそのような問題に言及したのは今回が初めてだ。その勇気におめでとう。私はこれで、その国とそこに住む人々のことが一層好きになった。

原文:http://paulocoelhoblog.com/2006/05/23/twenty-years-later-lets-be-honest/