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「ザ・スパイ」の作者との対話 - パウロ・コエーリョのE-CARDSより

拙訳

「ザ・スパイ」の作者との対話
2017/5/18
パウロ・コエーリョ

パウロ・コエーリョの2016年の小説「ザ・スパイ」は、時代の慣習をあえて破り代償を払った女性の忘れがたい物語を手紙の形式で語る。
この物語を語ること、名声を博したフランスの踊り子マタ・ハリの声を発見することの背景にあるインスピレーションについて、彼がここでいくつかの質問に答える。

マタ・ハリとは誰だったのでしょう?そしてなぜあなたは新しい小説の題材として彼女を選んだのでしょう?


マタ・ハリはヒッピー世代のアイコンの一人でした。ー悪女で、人と違っていて、よそ者で、派手な服ばかり着てー 私たちは皆、彼女に魅了されていたのです。
40年後、私は私の弁護士とスイスのジュネーブで夕食をとり、彼は第一次世界大戦中に有罪判決を受けた無実の人達の多くのケースに言及しました。政府が多くの戦時中の書類を機密解除しているため、私たちは今初めて学んでいるのです。
マタ・ハリは彼の言った例のうちのたった1つに過ぎませんが、私は常に彼女に関心を持っていたので、帰宅してオンラインで簡単にいくらか調べたのです。

この調査によって、私はそれらの文書の多くと彼女についてのより多くの情報に導かれることとなりました。翌日、衝動的に、私は本を何冊か購入し、週末はマタ・ハリについてなんでも読んで過ごしました。私は本のための(一種の)調査をしていたことを、その時はわからなかったのです。;想像の訓練として、彼女の身になって考えようと決めたとき、私はやっとそれに気がついたのです。


ーあなたは彼女の人生とその時代を、どのように調査しましたか?彼女の人生についてあなたが最も驚いたことは何ですか?

最も驚いたことは、20歳まで虐待されていた女性がいかにしてその状況を乗り越え彼女のようになったのか。
パリの「良き時代」は「すべてのことが可能」な時代でした。私はそれにとても好奇心をそそられ、本を主人公に集中するように務めました。作家は説明しすぎるものです。私は彼女の時代について一案を与えます。そして読者を情報でいっぱいにすることなく、立ち位置を選ばせようとします。

ー本の終わりの方で、あなたは事実の多くに行き詰まったと言います。どこであなたは歴史的記録から離れたのでしょう?そしてそれはなぜでしょう?

本の中の事実は正確で、歴史的な経緯は正確です。ですが誰か他の人の立場に自分を置いたのです。マタ・ハリの最後の手紙を想像する中で「どこで迷ったか?」を言うのは難しいです。しかし私は彼女が考えていたことに、非常に、非常に近づいたと信じています。
およそ2ヶ月前、オランダの博物館がマタ・ハリの新しい手紙をいくつか公開しました。それは彼女がジャワに行く前にオランダで書かれたものでした。それはまるで私が彼女を「チャネリング」したかのようだった、とある評論家が言いました。


ーなぜあなたは、これを書簡小説にすることを選んだのですか?

手紙を書くというのは、外側から見ている人にあなたの人生を説明する機会になります。


マタ・ハリの視点から書くことはどう感じましたか?

私が彼女の時代について読んでいる間中、彼女は日夜、私の同伴者になりました。そして私は、彼女が(彼女であった存在)が、どのようにその態度を正当化したかということを理解し始めたのです。


マタ・ハリは運命の女性としてのちょっとした名声を得た有名人でした。彼女は才能と嘘の両方を使って名声を作りました。この複雑な女性から私たちが学べる教訓はなんですか?

1)そべての夢には値段がある。2)あなたが人と違うことをあえてするとき、攻撃される準備をせよ;3)あなたが敵対する(男性的な)世界に向き合っていたとしても、それを迂回する道を見つける事ができる。


ー発砲隊による処刑に彼女を導いたのは何でしょう?彼女の人生の別の結果をあなたは想像出来ますか?

「もし」、あるいは何ができて何ができなかったかについて、私は決してあれこれ考えません。彼女は運命を全うし、それが重要なことなのです。

 

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