白い部屋

あなたと宇宙を泳ぐ

M.E.からの手紙 - パウロ・コエーリョのE-CARDSより

拙訳

 

M.E.からの手紙
2009/1/12
パウロ・コエーリョ

2003年10月7日 カラカスにて

親愛なるコエーリョ様:

私はあなたの本を全て読み、最新作には本当に驚かされたと言わざるを得ません。読んでいるうちに幾度か、私は止めて泣きたい気持ちになりました。ーただ女であるだけで。あなたの本であなたがそれほどよく表しているような感情と混乱を感じるために、売春の経験をする必要はありません。

それにも関わらず、女性に関してあなたがおそらく知らないいくつかのコメントを付け足したいのです。私たちは皆少しだけマリア(本の登場人物)を持っていて、傷つけたり傷つけられたりしないために二度と愛さないことを常に約束します。私たちは結局いつもこの約束を破ることになり、いつもこれを後悔しています。

私たちは完全な善でもなければ完全な悪でもないのです。

性的な喜びは別に私たちの主要な関心事ではないので、男性が想像するような方法で私たちがオーガズムに達することはめったにないという事実を隠すのは、多くの世代にとって可能でした。
私たちにセックスより多くの喜びを与えてくれるものをあなたはご存知ですか?それは食べ物です。私たちが男性を愛するとき最初に知りたいことは、彼がもう食べたか、十分に食べたか、私たちが作った料理を気に入ったかどうかです。フェミニストはそう言う私を嫌がるかもしれませんが、愛する男が食事を楽しむのを見ることが、まさに神聖なのです!あなたは本の中でこれを言わないのです。

ラテン女性にとって最大の問題は、男性の母親に結局はなってしまうことです。
母の愛は、彼の全ての弱さを許します(一日中自分がいかに強いかを語ったとしても、彼が弱いということを私たちは知っています)。
彼がいつも家に帰って来て、世話をし満足させてくれる人物の隣にいることが人生で最高のことだと気づくだろうと信じていたくて。
しかし男性は、息子のように愛されたくとも常に野蛮人のように振る舞い、その時の衝動と激情に屈します。肉体的に彼らが私たちを捨てなくても、彼らの魂はすでに出発し、何度も何度も戻っています。

女性はいつも過去に戻ることを望んで暮らしています。彼女らが経験した全ての瞬間を思い出しながら。そして、過去が過ぎ去り、現在は別物で、これまでなかった程早くより短い時間でそれが過ぎ去る事実を彼女たちは怖れている。私が話しているのはただ生物学的な時間でなくむしろ、もはや望まれていないと感じる事実です。道を歩いて誰も振り返らなかったと気付くとき、若かった頃の様に触れられることが二度となく、男性の目の中に性的な、または(あえて言います)わいせつな考えを見ることが決してない、そのことへの怖れがあります。

女性はロマンティックですが、常に男性に彼女たちの感情を殺させています。ー彼女らは失うものがもはやないので、容赦なく破壊的になれるのはそういう理由です。

先日、数人の友人に私たちがいかに「ひねくれて破壊的」になれるかを話していたとき、一人が言いました。:「いいえ、それはまったく本当ではないわ!それよりはるかに悪いよ。男性が傷ついたとき、彼らは自分で武器を取り復讐の準備をする。敵に見切りをつける準備をする。だけど、私たちが愛する人に傷つけられた時、私たちが考えられるのは、なんとか私たちが処刑人を取り戻して許しを請うために多くの戦略を準備することだけよ。それが私たちの復讐なの。:彼に私たちを恋しくさせて、戻ってこさせる。」

新しい本で、あなたが女性のように話そうとしているのがわかります。あなたはいくつかの箇所で成功したと思います。でもそれは女性のセックスの理想像で、本物ではありません。登場人物は、本当の真実の私たちよりもむしろ、そうありたいという私たちの方に似ています。

しかしいずれにせよ、男性が女性のように考えようとしているのを見ることはとても重要です。あなたは決してそれを成し遂げることはないでしょうがそれは重要でなく、それはとても興味深い軌跡であり、これが他の人が同じことをするための刺激になるかもしれません。

14歳の男の子の母親で、男性のような考え方をたくさんの人が責めるあなたの忠実な読者より

M.E.

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2003年10月24日、ピレネーの都市にて

親愛なるM.E.
文学評論家があなたくらい感受性が鋭ければよかったのにと思うばかりです。

パウロ・コエーリョ

原文:http://paulocoelhoblog.com/2009/01/12/letter-from-me/