神秘主義スーフィー - パウロ・コエーリョのE-CARDSより
拙訳
●ナスルーディンのターバン
ナスルーディンは堂々としたターバンを巻いて法廷に姿を現し、慈善のためのお金を求めた。
「あなたはお金を求めてここに来た。だがあなたは極めて高価なターバンを頭に巻いている。その並外れたものにいくらかかったのですか?」とサルタン(訳注:イスラム国の君主)は尋ねた。
「金貨500枚です。」と賢いスーフィーは答えた。
大臣はぶつぶつ言った。「あり得ない。そんなに高いターバンがあるはずがない。」
ナスルーディンは言い張った。:
「私は物乞いのためだけにここへ来たのではありません。商売のためでもあるのです。私はそのお金をすべてターバンに払いました。なぜなら、世界中でサルタンだけが、金貨600枚でそれを買うことができると知っているからです。だから私は貧しい人に余りのお金を渡すことができるのです。」
サルタンはおだてられ、ナスルーディンが求めるものを払った。法廷を出るとき、賢者は大臣に言った。:
「あなたはターバンの価値を知っているでしょうが、私は人間の虚栄心が彼をいかに遠くに連れて行けるのかわかっているのです。」
●ちょうど結婚のように
ナディアは秋の間中、種まきと庭の準備をして過ごした。春、花が開き、植えていないタンポポが何本かあるのにナディアは気付いた。
ナディアはそれらを引き上げた。しかし種はすでに広がり、他は成長した。彼はタンポポだけを枯れさせる毒を見つけようとした。どの毒も他の花を枯らすことになると専門家が言った。失望して、ナディアは庭師に助けを求めた。
「それはちょうど結婚みたいなものです。」庭師は言った。
「良いことに加え、常にいくつかの不都合があるのです。」
「その時は、そうすれば良いのでしょう?」
「なにも。それらはあなたが欲しい花でなかったかもしれませんが、それでもまだ庭の一部なのです。」
●思いやりを受け入れること
「どうしたら世界を浄化できますか?」と弟子が尋ねた。
イブン・アルフセインは答えた;
「かつてダマスカスにアブ・ムーサ・アルクマシというシャイフ(訳注:部族の長老、賢人)がいた。誰もが知恵のある彼を尊敬したが、彼が善人であることは誰も確かには知らなかった。
ある夕方、シャイフと妻が住む家が崩れ、どうやら構造の欠陥が原因だった。隣人たちは瓦礫の中を必死で掘り出した。あるところで彼らはシャイフの妻をやっと見つけた。
彼女は言った。:「私に構わないで下さい。最初に夫を救って下さい。かれは大体この辺りに座っていました。」
隣人たちは妻が示した場所に瓦礫を動かし、シャイフを見つけた。彼は言った。:「私の心配はしないで下さい。妻を最初に救って下さい。彼女は大体この辺りに横になっていました。」
そのカップルのように人々が行動するとき、彼らは全世界を浄化している。