白い部屋

あなたと宇宙を泳ぐ

川のようにあなたを愛している - パウロ・コエーリョのE-CARDSより

拙訳

 

川のようにあなたを愛している
2011/9/3
パウロ・コエーリョ

 

私はヒラールが居心地悪く感じ始めているのがわかる。
「私たちの関係が過去生で何だったかということに、私は興味がないの。私たちは今はここにいる。ノボシビルスクであなたは私に自分を許させて、私はそうした。今、私はあなたに好意を求めているの。:私を愛していると言って。」

私は彼女の手を握る。

「この川をみた?
そう、自宅のアパートの居間に、ちょうどこんな川に浸された薔薇の絵がある。絵の半分は水と自然の影響にさらされ、そのために縁がすこし不揃いだ。しかしまだ金色を背景にした美しい赤い薔薇の一部を見ることができる。」

「私はその画家を知っている。2003年、私たちは一緒にピレネーの森に行って、干上がった小川を見つけた。私たちは河床の石の下に絵を隠した。」
「その画家は私の妻だ。」

「私が彼女に会った時、私たちの関係はうまくいかないと確信していた。そして最初の2年間、私たちのひとりが去るだろうと確信していた。」
「続く5年間、私たちは単にお互いに慣れてしまい、そしてこれに気付いたらすぐにそれぞれ別の道に行くだろう、と私はずっと考えていた。
「もっと深刻な関わりが私の『自由』を奪い、そして経験したかったすべてを経験することから私を遠ざけると私は考えた。」

「あなたの言うことを理解するし、尊重する。」
ヒラールは言う。「でもレストランで、あなたが過去について話していたとき、愛に関することは個人よりも強いとあなたは言ったわ。」
「そうだね、だが愛は選択でできている。」

ふたりとも川をじっと見つめている。

「沈黙も、答えね。」彼女は言う。
私は彼女に腕を回し、そのため彼女の頭は私の肩にもたれている。
「あなたを愛している。」私は彼女に告げる。

「私はあなたを愛している。なぜなら、世界中のあらゆる愛は同じ湖に流れ込むさまざまな川のようで、その湖でそれらは出会い、雨になり、地球を祝福する1つの愛に形を変えるからだ。」

「私はあなたを愛している。渇いた人に水を与え、望む場所に人々を連れて行く川のように。」

「私はあなたを愛している。それぞれのやり方で滝に流れ込むことや、浅瀬で休むことを学ばなければならないと知っている川のように。

「私はあなたを愛している。なぜなら私たちは皆、同じ場所、水を絶え間なく供給し私たちを養い続ける同じ源から生まれるからだ。だから弱さを感じるとき、私たちがすべきは少し待つことだけだ。春が戻って来て、冬の雪が解け、私たちを新しいエネルギーで満たす。

「私はあなたの愛を受け取り、私のをあなたにあげる。」
「女に対する男の愛でなく、こどもに対する父親の愛でもなく、創造物に対する神の愛でもない。」
「それは名前も説明もない愛だ。」
「なぜ特定のコースを辿るか説明できないけれども、単純に前に向かって流れる川のように。」

「何も求めず、見返りに何も与えない愛。;それは単純にそこにある。私は決してあなたのものになることはないし、あなたは決して私のものにならない。;それでも、私は正直に言える。:私はあなたを愛している。」

午後のせいか光のせいか、その瞬間、宇宙はついに完璧に調和しているように見える。私たちは今いる場所に留まる。ヤオが疑いなく私を待っているホテルに戻る欲求を少しも感じる事なく。

「アリフ」より

 

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